プレジデント 5.17号から。
上司から与えられたミッションに対して、その有効性や意義に疑問を感じた場合、QAマネージャーはどうすればいいのでしょうか?
選択肢はいろいろあると思いますが、最も重要なことは、まわりの状況をよく観察しその命令の背景を探ることです。
命令の内容が一見無計画で場当たり的に見えても、実際に調べてみると、その裏には、ステークホルダー(主に経営者、投資家、親会社など)の意向や政治的な妥協が潜んでいる可能性もあります。そのような場合に、「この計画は欠陥だらけで会社にとっても不利益にしかならない」などど声を張り上げても、まったく無意味です。
批判した本人は会社やユーザーを第一に考えて、論理的、道義的に意義を唱えたつもりでも、他人にとっては単なる戦略に対する批判者ぐらいの印象しか持ってもらえないでしょう。命令した本人でさえも、問題を分った上で自覚的にやっている場合もあります。
批判を繰り返していると、次第に周りから疎まれてしまいます。私も一度このような状況に陥ったことがあります。
大事なことは「合理的な理由を論理的に主張したとしても、それが会社(上司)の意図と合わなければ会社組織の中では何の価値も生まない」ということを理解することです。息苦しいですね、、、、
もちろんいざという時は、戦うことも必要でしょう。でも、負け戦をやるのは賢い方法ではありません。
とは言っても、無理難題を全て引き受けていたら、自分も部下も潰れてしまいます。そうならないためにできることは4つあります。
1.直属の上司または同僚に命令の背景に関して相談すること
2.自分はどの程度裁量を持てるのか確認すること
3.責任の範囲を明確にすること
4.リスクに関して事前に言及しておくこと
1に関しては、やはり命令の背景を知ることで、その本質が見えてくる場合があるためです。知ってみると実は命令そのものは重要ではなく、単なる政治的理由でやるということが決まっただけのケースもあります。つまり、単に実行すればいいだけでその内容までは問わない、というようなまったく無意味なケースもあるということです。
このような場合に、正面きって批判することは体力のムダでしょう。会社にとっても不利益にしかならないので、いかにコストを抑えて"やったことにするか"を真剣に考えましょう。
2と3は命令を遂行するにあたって、自分の責任はどこにあるのか、またどの程度裁量を発揮できるのかを明確にすることで、後々の"被害"を最小限に留めることができます。責任>裁量の関係になっていないか、またそうなっていれば、具体的に何が必要なのか事前にはっきりさせておきましょう。いくら無茶な命令だったとしても、それを実現するために現実的に解決しなければならない問題があれば、上司も協力してくれるはずです。
4は欠陥だらけの計画が破綻した場合を想定して、事前に「こんな可能性がありますよ」と上司に伝えておくことです。これを行うことによって、仮にプロジェクトが失敗した場合でも、自分はこの可能性に関して言及していたと言い訳をすることができます。ズルい方法ですが、組織の失敗を個人の責任にさせないために、事前に準備しておくことは重要です。
トップのリーダシップが欠如した組織は往々にして、このように理不尽な状況になりがちです。
しばらく様子を見てまったく改善しないようであれば、履歴書を書き始めたほうが賢明かもしれません。
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